内藤友子 OFFICIAL BLOG

キャリアコンサルタント資格・メンタルヘルスについて

1級キャリアコンサルティング技能検定合格発表

年1回の1級キャリアコンサルティング技能検定の合格発表がありました。

学科は、第6回の53.41%から29.14%と大幅に落ち込み、実技も第5回の4.47%ほどではありませんが、8.32%から5.52%と落ち込みました。

学科試験に関しては、記憶のお勉強をするしかないのですが、実技に関しては、

何回か受検されている方の中には、どうしてなんだろう~とモチベーションが下がっている方もいらっしゃると思いますし、結果に納得できないという方もいらっしゃるのではないかと思います。

それでも、1級の肩書が欲しいという方は、来年度のバーをクリアするしかありません。

ただ、検定試験は、あくまでも検定試験であって、本来のスーパービジョンができていても、必ずしも検定に合格するというものでもありません。それは、すでに1級技能士をもっている人でもそうですし、相談者役や試験管によっても評価がかなり違ってくるからです。必ず相性はあります。

その辺りを踏まえて、検定試験の学習をされた方が早道かもしれませんね。

1級の支援は、書籍と夏以降の講座で支援させていただきます。また、ブログやホームページに情報を掲載させていただきます。

それから、1級は指導レベルですから、スーパービジョンを受けたことがないという範囲は避けたいですね。       

 1級キャリアコンサルティング技能士・認定精神保健福祉士・第一種衛生管理者

                                 内藤友子

第13回  1級キャリアコンサルティング技能士としての第三者の目「メタ認知能力」

1級キャリアコンサルティング技能士が必要な能力として、自分自身を客観的に見ること、それを語れることが必要です。

 

そのためには、日頃から「メタ認知能力」を高めることに取り組みましょう。

 

メタ認知能力とは、アメリカの心理学者ジョン・H・フラベルによって用いられた言葉で、認(知覚、記憶、学習、言語、思考など)することを、より高い視点から認知するということです。つまり、事例相談者と自分(事例指導者)がロールプレイをしている自分を高い視点から見るということです。そしてそれを評価できるということになります。

 

1級の試験では、30分のロールプレイで起こったことをすぐさま評価して、口頭試問に答えなければなりません

規定演技のロールプレイができても、口頭試問で論理的に答えなければ合格できません。

なので、日頃のトレーニングが必要なんです。

 

メタ認知能力を高めるために、1日10分のマインドフルネスが本当にお勧めです。

 

マインドフルネスは瞑想に近いもので、今という瞬間に、余計な判断を加えず、自分に意識して注意を向けるということです。

 

マインドフルネスで、集中力を研ぎ澄ましていくと、落ち着いた呼吸になり、今起こっていることにとても敏感になれます。

 

多くの受検者は、試験のケースばかりに捉われがちですが、試験では、その時に事例相談者から語られる内容に対応できなければならないのです。そして、試験のときに頼りになるのは、自分自身の知覚、記憶、学習、言語、思考しかないのです。

 

1日10分の瞑想で、呼吸を整え、まずは自分の体や呼吸にひたすら意識を向けることから始めてみてください。

第12回 1級キャリアコンサルティング技能士はオリンピック

第11回までは、事例指導に活かすマイクロカウンセリングを紹介しました。

 

第12回からは、来年の1月の試験までには時間がまだありますから、別の角度から試験対策としてできるトレーニングを書きたいと思います

 

1級キャリアコンサルティング技能士の試験は、年1回のオリンピックと捉えていただくとよいと思います。

ひたすら面接のロールプレイの練習をするより、まったく別の観点から自分を見直してみるのです。

 

1級の面接のロールプレイの合格率は、第5回では4.47%、第6回では、8.32%ですから,

100人の受験者に対し、4~8人しか受からないのです。であれば、人と同じことをやっていても受からないですよね。

 

例えば、オリンピックでメダルを取る選手というのは、もちろん競技自体の練習もしますが、その他に、基礎トレや筋トレをしたり、精神面を鍛えたり、食事の管理、読書・・・とありとあらゆる方向から自分を高めているのです。

 

その総合力をもってメダルを勝ち取るのです。そのあらゆる行動自体が自信を生み、それでも、いけるだろうなんて安心はしない。本番は委縮してしまいそうな気持をコントロールして、慌てず、そして「勇気」を出して30分間の競技に臨むのです。

第11回 マイクロカウンセリング技法を1級キャリアコンサルティング技能士実技試験 面接に活かす⑧

積極技法の続きです。

 

⑤フィードバック

カウンセラーあるいは第三者が相談者をどう見ているかという資料を与えることです。

クライアントの長所(肯定的資質)に焦点を合わせると効果的です。

 

事例指導者は、事例相談者のできている部分をしっかりとフィードバックし、さらによりよくなるためにはどうしたらいいかを一緒に考えていきます。ただし、大げさに褒めると試験ではマイナスになりますし、問題があるのに褒めると、事例相談者には気づきは与えられません。

 

⑥カウンセラー発言の積極的要約

面接中にカウンセラーが助言したことや、コメントしたことをクライアントに要約して伝えることです。

 

事例相談者と事例指導者が合意に至った自己研鑽について、ロールプレイの最後にまとめます。

 

⑦助言、情報提供、教示

クライアントにカウンセラーの考えや情報を伝えることです。

 

事例指導では、指導しなければなりませんので、後半の具体的展開で、事例相談者の成長に必要な助言、情報提供、教示をします。

 

⑧技法の統合

技法を統合し、折衷的にもちいます。

 

⑨個人的スタイルと理論を決める

統合した技法を土台とし、個人的な援助スタイルと理論を決めることになります。

 

第11回まではマイクロカウンセリングの技法を1級キャリアコンサルティング技能士の面接でどう生かせばよいかをお伝えしてきました。この技法が意識して使いこなせれば

口頭試問においても、やったことを言えばよいので、口頭試問がとても楽になります。

 

質問)自分のロールプレイを振り返ってよかった点は?

例)「信頼関係を気づくために、特にかかわり行動において、視線の合わせかた、身体言語(笑顔)、声の調子、言語的追跡に注意して関わりました。」

第10回 マイクロカウンセリング技法を1級キャリアコンサルティング技能士実技試験 面接に活かす⑦

積極技法

積極技法は様々あります。

指示

コンサルタントが相談者にどのような行動をとってほしいかを示します。

 

事例指導者が、事例相談者が実行に移せる自己研鑽を提案する場合に用います。

 

論理的帰結

相談者の行動によって予測される良い結果、悪い結果の両方について考えるよう促すことです。

 

事例指導者が、事例相談者の対応によって予測される良い結果と悪い結果の両方について考えるよう促すときに使えます。

 

解釈

相談者の状況を読み取る新しい観点をコンサルタントが相談者に与えることを言います。

 

事例指導者の解釈を伝えます。「~のようには考えられませんか」

 

自己開示

カウンセラーが自分の考えや経験などを相談者に伝えることを言います。

 

事例指導者は、事例相談者との関係を対等なものとし、信頼関係を深めることができます。

第9回 マイクロカウンセリング技法を1級キャリアコンサルティング技能士実技試験 面接に活かす⑥

意味の反映は、相談者が自らの成育史の中で、無意識のうちに身に付けてきた意味や価値観が含まれます。しかしそれは相談者の思考、感情、行動の裏に隠れて見えません。それを相談者に気づかせるように質問します。

 

例えば「あなたは仕事に対して、とてもまじめに取り組んで、最も重視しているようですね。それはあなたにとってどういう意味を持ちますか?」と展開します。

より高度な技法となります。

 

事例指導では、時間が短いため、あまり使うことはないかもしれません。そこまで深められないからです。しかし、自分の対応へのこだわりがとても強い事例相談者に対しては使ってみてもいいかもしれません。

 

例えば「50歳を過ぎていれば就職は難しいということを強く思われていて転職をすすめられたのですね。それはあなたにとってどういう意味を持ちますか?

 

参照)マイクロカウンセリング技法 事例場面から学ぶ 福原眞千子監修 風間書房

 

第8回 マイクロカウンセリング技法を1級キャリアコンサルティング技能士実技試験 面接に活かす⑤

対決技法は、カウンセリングでは相談者の成長・変化を促すうえで大きな力を発揮します。クライアントの矛盾を見出し、それを指摘していきます。ただし、この技法を用いるためには、しっかりとした信頼関係を築き、終始支援的な姿勢を示すことが重要です。

 

30分の事例相談では、前半部分でどう対応したかを押さえた上で、事例相談者ができているところは褒め、課題に気づかせるには、対決を用いることが必要です。そこで抵抗に合ってしまうとすれば、まだ十分に聴けていないということがあるかもしれませんし、教育指導関係ができておらず、事例指導の場を理解していないのかもしれません。最初の流れの説明が必要です。

 

焦点のあてかたは、相談者のストーリーは複雑で、相談者、カウンセラー、相談者/カウンセラー、他の人、問題、家族、文化の脈絡といった焦点をあてることのできる様々な方向を含んでいます。相談者が見つけることを助ける新しい視点から見ることを促し、新しい気づきを得させることが可能となります。

 

事例相談者の話は、相談者をどのように見立て、相談者を支援するためにどのような視点を持っているかを質問によって探ります。例えば、まだ様々な悩みを抱えてこだわっている相談者に対して、事例相談者の価値観で転職を推し進めてしまったことを今であればどう見るか、あるいは、仕事以外の情報や、周囲の人との関係性等、情報収集は十分にできていたのかなどを探っていき、新しい視点に気づかせます。

 

参照)マイクロカウンセリング技法 事例場面から学ぶ 福原眞千子監修 風間書房