内藤友子 OFFICIAL BLOG

キャリアコンサルタント資格・メンタルヘルスについて

第9回 マイクロカウンセリング技法を1級キャリアコンサルティング技能士実技試験 面接に活かす⑥

意味の反映は、相談者が自らの成育史の中で、無意識のうちに身に付けてきた意味や価値観が含まれます。しかしそれは相談者の思考、感情、行動の裏に隠れて見えません。それを相談者に気づかせるように質問します。

 

例えば「あなたは仕事に対して、とてもまじめに取り組んで、最も重視しているようですね。それはあなたにとってどういう意味を持ちますか?」と展開します。

より高度な技法となります。

 

事例指導では、時間が短いため、あまり使うことはないかもしれません。そこまで深められないからです。しかし、自分の対応へのこだわりがとても強い事例相談者に対しては使ってみてもいいかもしれません。

 

例えば「50歳を過ぎていれば就職は難しいということを強く思われていて転職をすすめられたのですね。それはあなたにとってどういう意味を持ちますか?

 

参照)マイクロカウンセリング技法 事例場面から学ぶ 福原眞千子監修 風間書房

 

第8回 マイクロカウンセリング技法を1級キャリアコンサルティング技能士実技試験 面接に活かす⑤

対決技法は、カウンセリングでは相談者の成長・変化を促すうえで大きな力を発揮します。クライアントの矛盾を見出し、それを指摘していきます。ただし、この技法を用いるためには、しっかりとした信頼関係を築き、終始支援的な姿勢を示すことが重要です。

 

30分の事例相談では、前半部分でどう対応したかを押さえた上で、事例相談者ができているところは褒め、課題に気づかせるには、対決を用いることが必要です。そこで抵抗に合ってしまうとすれば、まだ十分に聴けていないということがあるかもしれませんし、教育指導関係ができておらず、事例指導の場を理解していないのかもしれません。最初の流れの説明が必要です。

 

焦点のあてかたは、相談者のストーリーは複雑で、相談者、カウンセラー、相談者/カウンセラー、他の人、問題、家族、文化の脈絡といった焦点をあてることのできる様々な方向を含んでいます。相談者が見つけることを助ける新しい視点から見ることを促し、新しい気づきを得させることが可能となります。

 

事例相談者の話は、相談者をどのように見立て、相談者を支援するためにどのような視点を持っているかを質問によって探ります。例えば、まだ様々な悩みを抱えてこだわっている相談者に対して、事例相談者の価値観で転職を推し進めてしまったことを今であればどう見るか、あるいは、仕事以外の情報や、周囲の人との関係性等、情報収集は十分にできていたのかなどを探っていき、新しい視点に気づかせます。

 

参照)マイクロカウンセリング技法 事例場面から学ぶ 福原眞千子監修 風間書房

 

第7回 マイクロカウンセリング技法を1級キャリアコンサルティング技能士実技試験 面接に活かす④

はじめに

今回は、3階層目の5段階の面接構造を面接に活かします。

かかわり行動、傾聴技法ができるようになると、

これらの技法を統合して面接を行うことができるようになります。

第7回で基本的傾聴技法(開かれた質問、閉ざされた質問、

クライアントの観察技法、はげまし、言い換え、要約、感情の反映の技法)を、

適宜意図性をもって連鎖的に用いることで、

5段階の構成(①ラポール②問題の定義化③目標の設定④選択肢を探求し、不一致と対決する、⑤日常生活への般化)を構成することが可能です。

 

ラポールは、かかわり行動とクライアントの観察技法です。

②問題の定義化は、情報収集が重要となります。基本的傾聴連鎖によって、クライアントのストーリーを引き出します。

③目標の設定は、クライアントの目標に焦点をあてます。基本的傾聴の連鎖によって、どのようになりたいかを語らせます。

④選択肢を追求し、不一致と対決する、は、目標達成のために具体的にどのような方法が考えられるのかを探索して決定します。

⑤日常生活への般化は、面談で修得したことを日常生活に反映するうえでの様々な方法が検討されます。

 

まさに、1級キャリアコンサルティング技能士の30分のロールプレイは、基本的傾聴技法を連鎖的に用いることで、事例相談者の問題が明確になり、おのずと基本的態度・関係構築力・問題把握・具体的展開と評価区分がクリアできることになります。

第6回 マイクロカウンセリング技法を1級キャリアコンサルティング技能士実技試験 面接に活かす③

はじめに

第6回では、2階層目の傾聴技法です。基本的傾聴の連鎖とは、開かれた質問、閉ざされた質問、クライアントの観察技法、はげまし、言い換え、要約、感情の反映の技法になります。

 

1.開かれた質問、閉ざされた質問

開かれた質問は、「どのように?」や「何を~?」「なぜ~?」と尋ねたり、

「それについてもう少し詳しく話してくださいませんか」という表現です。

閉ざされた質問は「はい」「いいえ」で答えられる質問です。

事例指導者は、5回目でお話しした、かかわり行動の言語的追跡によって、

事例相談者がどのような相談者のカウンセリングを行ったのか、

どのように対応したのか、を開かれた質問や閉ざされた質問によって引き出すことになります。

多くの情報を引き出すには、開かれた質問が有効ですが、どのように対応したかを押さえるためには、意図した確認のための閉ざされた質問が必要となります。

 

2.クライアント観察技法

観察によって、質問に対する事例相談者の応答の言葉と表情・態度との間の矛盾点や変化に気づくことが面談のロールプレイングでは重要です。特に矛盾点については、確認が必要となります。

 

3.はげまし、いいかえ、要約

はげまし、いいかえ、要約は、共感の基礎となる技法です。はげましは「ええ、それで?」といったものから、短く繰り返す、うなずきのような「非言語」によるものとがあります。

かかわり行動の姿勢を保ちつつ、しっかり事例相談者の事例報告を聴きましょう。

言い換えは、事例相談者が語ったことの本質をフィードバックします。

相談者が語ったことなのか、事例相談者が対応したことなのかを明確に言い換えます。

 

要約は、面接の中ほどや最後に今回語られた内容を対象として用いたりします。

面接のロールプレイ約10程度で、相談者の人物像と事例相談者の対応、主訴が語られますので、要約を入れましょう。

 

4.感情の反映

事例相談者の言語化されない感情を注意深く観察し、それをてがかりとして、事例相談者の感情に注意を向けてフィードバックします。

「〇〇さんとしては、事例相談者のこれからのことを思って、転職の話をすすめられたのですね。」

参照)マイクロカウンセリング技法 事例場面から学ぶ 福原眞千子監修 風間書房

 

第5回 マイクロカウンセリング技法を1級キャリアコンサルティング技能士実技試験 面接に活かす②

はじめに

第5回では、面接のロールプレイングにおいて、マイクロカウンセリング技法のかかわり行動は、試験の評価区分の基本的態度、関係構築、全体を通して、大きな影響を与えます。

しっかりと意識して、体現できるようにしましょう。

 

1.視線の合わせ方

聴いていますよというメッセージを送るために、面談の最初の出会いから、着席して自己紹介を行う時には、アイコンタクトをしっかりとって、事例相談者とペースを合わせるようにします。

 

2.身体言語

自分の気持ちは無意識に身体に現れます。眉間にしわを寄せてしまったり、表情や姿勢によって事例相談者に信頼感を与えない印象になってしまいがちです。

事例相談者に安心して話してもらえるように、笑顔で、少し前傾姿勢で背筋を伸ばして聴く姿勢を保ちましょう。

 

3.声の調子

話すスピードや声のトーンも事例相談者に様々な印象を与えます。特に面接のスタートは、事例相談者も事例指導者も緊張していますので早い展開になりがちです。決して焦らず、ゆっくりとしたスピードで、やわらかい声のトーンで事例指導を始めてください。

 

4.言語的追跡

初めて事例相談者の話を聴く場合は、事例指導者は話に集中できますが、試験では先に相談内容を知っているため、意識が知っている自分の記憶に向きがちです。基本情報(相談者の年齢や性別、相談概要)以外は、目の前にいる事例相談者が直前に話したことや少し前に話したことに、しっかりついていくことが大切です。

参照)マイクロカウンセリング技法 事例場面から学ぶ 福原眞千子監修 風間書房

 

第4回 マイクロカウンセリング技法を1級キャリアコンサルティング技能士実技試験 面接に活かす①

はじめに

1級キャリアコンサルティング技能士は,標準レベルのキャリアコンサルタントの模範

としてキャリアコンサルティングを実践してみることが必要で、

それは1級キャリアコンサルティング技能士実技で体現し、口頭試問でも生かされます。

第4回から、マイクロカウンセリングの技法が,実技試験でどのように活用

されるかを書いていきます。

 

マイクロカウンセリングとは

第4回は、マイクロカウンセリングについての概要です。

マイクロカウンセリングは、1960年代に、アメリカのアレン・アイビイ博士

によって開発され、日本へは1970年代後半に福原によって導入されました。

 

アイビイ博士は、数多くの実証的なリサーチに基づいて面接の際のコミュニケーション技法を単位ごとに組み立てて、マイクロ技法の階層表をシステマチックな枠組みを作り上げました。

 

マイクロカウンセリングの特徴

1.傾聴

傾聴を土台とし、相談者のストーリーを引き出すために技法を習熟することが不可欠です。

2.肯定的資質

根底にある肯定的な人間観で、病理に注目せず、個人の可能性や潜在能力に向けて肯定的資質を積極的に引き出していく関りが行われます。

3.関係性

それぞれの別個の文化的ヒストリーを持っている点に配慮した関りが行われます。

4.意図性

個人の状況に応じて、様々な理論や技法を柔軟に組み合わせて対応できるように訓練することができます。

5.トレーニング

①技法の説明を聞く。

②模擬演技(モデル)

③文献を読む

④練習(ロールプレイ)

⑤日常生活への適用の可能性(一般化)

について考えるという手順です。

参照)マイクロカウンセリング技法 事例場面から学ぶ 福原眞千子監修 風間書房

 

キャリアコンサルタントの活動領域

キャリアコンサルタント資格を取られた方が活躍する場としては、

企業、就職支援機関、教育機関、地域(自治体、NPO)などで、

201キャリアコンサルティングの実態調査では、1主な活動の場としては、

公的就職支援機関(ハローワーク、ジョ ブカフェ、ヤングジョブスポット等)が

約30%と最も多く、次いで、企業内(キャリア開発部 門等)が約24%、

民間就職支援機関(人材派遣会社、再就職支援機関等)が約18%等の順となっています。

 

キャリアコンサルティングの支援対象は
「未就業の求職者」が54.3%と最も多く
「学生等(大学(大学院)・短大・高等専門学校専修学校)」(46.2%)
「現在就業している転職希望者」(43.3%)
「企業等に勤める若年社員(入社 2~5年程度)」(37.2%)
「企業等に勤める中堅・ベテラン社員」(35.6%)
「フリーター等の若年者」(35.5%)

 

上記がキャリアコンサルタント資格を取られた方の活動の場ですが、

今後労働力人口の減少や、通信技術の発達とともに、

時間と場所を選ばないテレワークの働き方が今後広がっていくであろうことを考えると、個人のキャリア形成の仕方は、人生の様々な局面において意思決定と選択の仕方

が重要であり、そこにこそ、これまでの常識に捉われないキャリアコンサルタントとしての視点が活かされるべきであると考えます。